私の『ヒールフリー史』(6) ~テレマーク本格始動

大学2年次は、次のシーズンに自力でツアーに行くために、春から山岳サークルで登山技術を学んできたわけですが、いよいよ冬、1989-90のスキーシーズンを迎えて、テレマークに本格的に取り組み始めることになります。

まずはMyスキーの購入です。
用具の選び方については、唯一の活字情報源だった北田啓郎編「スキーツアー 入門とガイド」に加えて、前シーズンにテレマークのレッスンを受けた妙高バックカントリースキースクールの大学さんからアドバイスをもらっていました。

あらためて「入門とガイド」を読み返してみると、p22『テレマークツアー用具の特徴と選び方』には、このように書かれています。
「レギュラータイプ(最大幅67ミリ前後)とワイドタイプ(最大幅72ミリ前後)があり、ワイドタイプが主流になりつつある。」

この本で、テレマークの板がレギュラーとワイドの2タイプに分けて紹介されていたなどということは、今回読み返すまで全く忘れていました。
「主流になりつつある」とありますが、感覚的にはもう主流になっていたというか、店頭の大半はここでいうワイドタイプだったという印象です。
しかし、トップ72ミリがワイドタイプとは…今とはまさに隔世の感がありますね。

私が購入したのは、トップ68ミリの、ロシニョールの「TRS」というモデル。長さは210cmだったと思います。
主流の「ワイドタイプ」ではなく、少数派だった「レギュラータイプ」を選んだわけですが、これを選んだ理由は、「かっこよかったから」。何しろ、お年頃の大学生ですから。
当時、テレマークの世界で、レース/エキスパート向けのトップモデルはカザマの「TELEMARK COMP 2」だったのですが、アルペンから来た私にはカザマはダサいイメージだったのと、板がちょっと重すぎるように感じました。

ビンディングは3ピン、今でも売っているロッテフェラーの「スーパーテレマーク」。それにボレーのリリースプレートを着けていました。
当時はケーブルビンディングを使っている人はほとんどいなかったと思います。

ブーツは滑り重視で、2バックル付きの革靴「アゾロ エクストリームプロ」。
大学さんのオススメでもありました。

今は廃業してしまったIBS石井スポーツの鶴見店で購入したのですが、私がテレマークを始めたばかりだと分かると、佐藤蛾次郎のような髪型をしたおじさん店員が、「これ見てみれば」といって、TAJ制作の「モダン・テレマーク」というビデオ(のダビングしたもの)を貸してくれました。
私は、「おじさん、こんなことしていいのかな~」と思いつつ、ありがたくお借りして、いけないとは知りつつ家でダビングし、それを繰り返し見て「勉強」しました。

大学の後期試験が終わると、私は、昨年勤めたスキースクールで、再びインストラクターのアルバイトをしました。
そのスクールでは、前年までイントラの指導をしていた主任が辞めてしまい、レッスン終了後のイントラ向けの指導はほとんど行われなくなってしまっていました。
そのため、前年一緒にアルバイトをした仲間も辞めてしまったりしたのですが、この年はアルペンよりもテレマークの上達が目標であった私には、イントラ向けの指導がなくなったのは好都合でした。
レッスンが終わるとテレマークブーツに履き替え、時にはナイターも活用して、テレマークを滑り込みました。

周りにテレマークを教えてくれる人はいないので、前年大学さんに教わったことを基礎にしつつ、試行錯誤を繰り返しながら自己流で研究するしかありません。
当時私がイメージしていた「かっこいい滑り」は、テレマークレースの写真の、低い姿勢で旗門をギューンと通過していく、あの感じ。
ウェーデルンなどやろうと思ってもとてもできない、という事情もありましたが、とにかく、低い姿勢で思い切り踏ん張り、高速大パラレルをキメるのがかっこいいと思っていました。
今の私が当時の私に会ったら、「キミキミ、整地されたゲレンデならいいだろうけど、それじゃあ悪雪は滑れないよ。それに疲れるでしょ、そんな低い姿勢じゃ。」と教えてあげるところですが。
実際、テレマークをすると太ももの前側がパンパンになりましたが、それがテレマークなのだと思っていました。

それでも、滑り込みの成果で、ゲレンデでの高速パラレルはかなり板についたものとなり、自分としては結構イケてると思っていました。
また、もちろん高速パラレルだけを練習していたわけではなく、上級者コースの急斜面やコブ斜面をワンステップターンでこなす練習などもしていましたので、いろいろな斜面に対する対応力も、前年に火打山ツアーに参加したときよりはるかにアップしていました。

こうしてテレマーク技術にもある程度の自信をつけて、待望の春のツアーシーズンを迎えたのでした。

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