★★2012.04.19 BCXC/仙ノ倉山・シッケイ沢左俣
BCクロカンを利用した本格的ツアーに初挑戦。
私にとっては会心のツアーになりましたが、BCクロカンの本来の楽しみ方からは外れているかも…。
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2012年4月19日 仙ノ倉山・シッケイ沢左俣
天候:晴れ、頂上付近は霧
装備:(板)クナイスル・ツアーライト59(靴)Xadv7
<タイム>
8:00 平標山登山口
10:20 主稜線
10:40~11:12 平標山
11:13 笹穴沢1930m点
11:25~11:30 平標山
11:38 仙ノ倉谷西ゼン1745m点
12:45 仙ノ倉山
13:45 毛渡沢合流点
14:20~14:35 群馬大ヒュッテ
14:40 除雪終了点
(この間一部自動車利用)
15:45 蓬橋
BCクロカンを始めて、この道具を生かしてあちこち登ったり滑ったりして遊べる場所は、と考えたとき、すぐに思いついたのが、平標山から仙ノ倉山にかけての稜線とその周辺に広がる斜面だった。
平標山は、もともとテレマークで行ってみたいと長年思い続けていた場所でもあり、BCクロカンの「行きたいルート」リストの最上位にあった。
一方、私は、「条件さえ良ければBCクロカンでテレマーク/山スキーの中級ルートの踏破が可能」という自説を実践する機会も狙っていた。
その点、平標から土樽側に下りる山越えルートなら、中級ルートと言って差し支えないだろう。
もっとも、山越えだけなら、時間的にはそれほどかからない。
稜線周辺の斜面をBCクロカンでしばらく遊んだ後、土樽に下れば一石二鳥じゃないか、ということで、今回のツアーを計画した。
始発の新幹線で7:25に越後湯沢着。
これに効率よく接続するバスの便がなく、バス利用だと1時間入山が遅くなる。
初めてのルートということもあって行動時間に余裕が欲しかったので、タクシーで登山口に上がる。
登山口から別荘地内を歩いていく。
道の脇にはまだかなり雪が残っている。
ほどなく林道入口。
スキーを着けて歩き始める。
ヤカイ沢の出合で林道を離れ、ヤカイ沢に入っていく。
昨年2月に訪れたときには早々にシール装着となったが、春の雪にはステップが良く効く。
そして、細くてキャンバーが強めのクナイスル・ツアーライト59は歩行が軽快。
出発から約1時間、1230mあたりまでステップで登ってしまう。
シールを貼って2本目。
ヤカイ沢の下部にはメローなオープンバーンが広がっていて、初~中級者がBCクロカンで遊ぶには格好の場所だろう。
しかし今日は素通りし、右手の沢に入って、主稜線につながる支尾根に向かって急斜面を登高する。
支尾根上は雪が消えかかってヤブがでており、スキーを履いたまま尾根通しに歩くのは難しい。
登ってきた支尾根西側の斜面は雪をつなげて歩くこともできそうだが、かなりの急斜面のトラバースが続くことになる。
登りやすいのは、支尾根東側の雪庇の上。
あまり好ましいことではないが、この雪庇の上を足早に登る。
幸い、雪庇上の歩きはそれほど長くなく、主稜線に合流。
眼下には平標山の家。
目指す山頂方向にはガスが巻いている。
主稜線に出て15分ほどで平標山頂着。
登山口から2時間40分。
ステップを活用したのが効いたのか、思ったより速いペースだ。
山頂周辺はガスで、残念ながら眺望は楽しめなかった。
時折ガスが薄くなっても、見えるのは近くの山だけで遠望はきかない。
行動食を補給したら、シールを剥がして滑降だ。
森林限界を超えた稜線周辺は、どこも無立木のオープンバーン。
時間もあるし、まずは足慣らしということで、南側の笹穴沢源頭部のメローな斜面を軽く1本。
斜度的には、この笹穴沢源頭が一番BCクロカン向きだろう。
雪はグズグズでかなり潜るが、重さはそれほどでもなかった。
ステップのままさくさくっと登り返して、再び山頂。
お次は西ゼンだ。
西ゼンは大ナメで有名な沢登りの人気ルート。
源頭部には手頃な斜度の大斜面が広がっている。
しかし、山頂から滑り込もうとすると、直下は結構な急斜面。
BCクロカンだし、雪質も滑りやすいとはいえないし…稜線沿いに少し下って斜度の落ちたところから滑り込むか、と迷うが、やはりここは山頂から、と思い切ってドロップ。
南側よりは少し雪が締まっていて、思ったより滑りやすい。
ワンステップターンで慎重に滑り降りる。
少し斜度が落ち着いたところから、フラットな大斜面を飛ばす。
うほ~、気持ちいい~!
止まるのがもったいなくて、気付けば標高差100m強をノンストップラン。
思っていたとおりの極上斜面で、私の山スキー歴の中でかなり上位に入る、記憶に残る1本になった。
西ゼン1750m付近から、平標と仙ノ倉の鞍部を目指して登り返す。
この登り返しも、試しにステップで登ってみる。
すると、それほど効率悪くなく、「シール初級者のジグザグ登高」くらいの角度で登っていけるので、シールを貼らずにそのまま登ってしまう。
稜線に戻ると、仙ノ倉への登りは、概ね夏道だけに雪が残っているという感じ。
それもところどころ途切れている。
一度スキーを外したが、グサグサに腐って不意に深く潜る雪をツボ足で登るのは面倒。
特に、雪を踏み抜いて木道の階段の隙間に落ちるとかなり深いので、危険。
再度スキーを履いて、そこからは、細い夏道と、その周辺にわずかに残った雪を拾いながら、直登、開脚登高、階段登高から木道歩き(!)まで、あらゆるテクニックを駆使して強引にスキーのまま登る。
頂上直下、最後の最後のひと登りだけは、木道の階段がほぼ完全に露出していたのでスキーを脱ぎ、12:45仙ノ倉山到着。
山頂から、少し北の小ピーク(三ノ字ノ頭というらしいが、地形図には表示はない)に進み、目指すシッケイ沢左俣を確認する。
見える範囲にはデブリなどはなく、状態は悪くなさそう。
が、すぐ足元、小ピーク直下の斜面は相当急だ。
うおー、これを滑るのか?
『ハイグレード山スキー』には「上部は40度程度の急斜面」と書いてあるし、地形図を見ても先ほどの西ゼン直下より明らかに急なのは分かっていた。
それでもまあ、40度くらいはスキー場にも時々あるし、テレマークではもっと急な火打山・澄川源頭や真砂沢の別山直下なども滑っているから、40度なら何とかなるのでは、と甘く見ていた。
しかし、道具がBCクロカン、しかも私の技術ではクイックなターンの困難な今日の雪質でここを滑るのは、かなり度胸が要る。
稜線を歩いて下り、斜度の緩いところから滑り込むという選択肢もあり、実際、そういうシュプールが沢山残されていたが、壁のような急な稜線をBCクロカンブーツで下るというのも、それはそれで怖い。
覚悟を決めて、スキーで滑り込むことにする。
はじめは、雪質を確認しながらの斜滑降+キックターンで、頂上直下の一番激越な部分をやり過ごす。
その後、意を決して最初のターン。
フラットな急斜面がかなり下まで続いているので、すごい高度感。
こわい~~~。
とてもターンをつなげる余裕はなく、ワンターンずつ滑っては止まる。
私のターンで崩れた雪がスラフとなって、ずっと下まで流れていく。
すぐ横には、おそらく先週末に別のスキーヤーが作ったのであろうスラフの跡が残っている。
悪戦苦闘しながら高度を落とし、斜度が緩んだところでスラフ跡から脱出。
すると、そこは思いの外滑りやすいザラメ斜面だった。
そこからさらに一滑りで、沢の幅が狭まり『沢底』という感じになる。
斜度はぐっと緩くなるが、雪は激重で、時折ストップスノーでバランスを崩される。
足に疲れがくる滑りだ。
1か所だけ真新しいデブリがあったが、沢幅の広い部分で、十分通り抜けは可能。
毛渡沢に合流すると、そこからは平坦な河原スキーで、ターンする場面はほとんどない。
登りが出てくるところもあり、こういうところではBCクロカンがありがたい。
『ハイグレード山スキー』には、「毛渡沢と合流したら最初は右岸をそして左岸に渡り、最後は右岸の切り開きのような中を滑り、そのまま群大ヒュッテ前の吊り橋にでて仙ノ倉谷と合流する」とあるので、それを意識しつつ、消えかかったシュプールを追って進む。
残雪量が十分だったこともあり、スムーズに群大ヒュッテ前に到着。
昨年秋にできたという立派な橋を渡る。
この橋ができたおかげで有名な吊り橋渡りをしなくて済むようになった、というのもシッケイ沢を下降ルートに選んだ理由の一つ。
群大ヒュッテの前でストックを長くして、これから先の林道滑走に備える。
しかし、除雪は既にヒュッテから5分ほどのところまで来ていた。
スキーを外して、高い雪の壁に挟まれた林道を歩く。
もう蓬橋15:30発のバスには間に合わないだろうから、急ぐ必要はないと、道端のフキノトウを摘みながらのんびり歩く。
下界は晴天で、春気分を満喫していたら、突然、目の前を激流に遮られる。
林道の上を川のような雪解け水の流れが横切っている。
流れは速く、深さも膝ほどはあると思われ、とても徒渉できそうにない。
一瞬、呆然。
下流を覗くとスノーブリッジがあったので、いったん林道から雪の上に上がってあれを渡るか、などと考えていたら、後ろから車が。
次に軽トラが来るからそれに乗せてもらえ、というありがたいお言葉。
仰せの通り軽トラの荷台に乗せてもらい、激流を渡る。
トラックごと流されるんじゃないか、とちょっと不安を感じるくらいの流れだったが、無事渡り切る。
すると、どうせならこのまま乗っていけ、と言って下さったので、県道まで乗せて頂く。
県道からは、右手の土樽駅の方に歩いていく。
しばらく行くと、「土樽駅」という矢印看板。
その矢印の先は…雪壁(笑)。
これを越えて駅に行けとは、さすが豪雪地だ。
私が目指す蓬橋バス停は、そこから数分のところだった。
軽トラに乗せてもらったおかげで、16:27発のバスまで40分ほどの待ち時間ができた。
のんびりと山スキー装備を解き、蓬橋からの景色を楽しんだりしながら、バスを待つ。
ほとんど貸し切り状態のバスで越後湯沢に戻り、温泉+ビール+地酒で極楽のひとときを過ごした後、新幹線で東京に帰った。
予想以上に急斜面で苦しめられたところを除けば、下山後の楽しみも含めてほとんど狙い通り。
BCクロカンの利点も生かした、会心のツアーとなった。
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私にとっては会心のツアーになりましたが、BCクロカンの本来の楽しみ方からは外れているかも…。
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2012年4月19日 仙ノ倉山・シッケイ沢左俣
天候:晴れ、頂上付近は霧
装備:(板)クナイスル・ツアーライト59(靴)Xadv7
<タイム>
8:00 平標山登山口
10:20 主稜線
10:40~11:12 平標山
11:13 笹穴沢1930m点
11:25~11:30 平標山
11:38 仙ノ倉谷西ゼン1745m点
12:45 仙ノ倉山
13:45 毛渡沢合流点
14:20~14:35 群馬大ヒュッテ
14:40 除雪終了点
(この間一部自動車利用)
15:45 蓬橋
BCクロカンを始めて、この道具を生かしてあちこち登ったり滑ったりして遊べる場所は、と考えたとき、すぐに思いついたのが、平標山から仙ノ倉山にかけての稜線とその周辺に広がる斜面だった。
平標山は、もともとテレマークで行ってみたいと長年思い続けていた場所でもあり、BCクロカンの「行きたいルート」リストの最上位にあった。
一方、私は、「条件さえ良ければBCクロカンでテレマーク/山スキーの中級ルートの踏破が可能」という自説を実践する機会も狙っていた。
その点、平標から土樽側に下りる山越えルートなら、中級ルートと言って差し支えないだろう。
もっとも、山越えだけなら、時間的にはそれほどかからない。
稜線周辺の斜面をBCクロカンでしばらく遊んだ後、土樽に下れば一石二鳥じゃないか、ということで、今回のツアーを計画した。
始発の新幹線で7:25に越後湯沢着。
これに効率よく接続するバスの便がなく、バス利用だと1時間入山が遅くなる。
初めてのルートということもあって行動時間に余裕が欲しかったので、タクシーで登山口に上がる。
登山口から別荘地内を歩いていく。
道の脇にはまだかなり雪が残っている。
ほどなく林道入口。
スキーを着けて歩き始める。
ヤカイ沢の出合で林道を離れ、ヤカイ沢に入っていく。
昨年2月に訪れたときには早々にシール装着となったが、春の雪にはステップが良く効く。
そして、細くてキャンバーが強めのクナイスル・ツアーライト59は歩行が軽快。
出発から約1時間、1230mあたりまでステップで登ってしまう。
シールを貼って2本目。
ヤカイ沢の下部にはメローなオープンバーンが広がっていて、初~中級者がBCクロカンで遊ぶには格好の場所だろう。
しかし今日は素通りし、右手の沢に入って、主稜線につながる支尾根に向かって急斜面を登高する。
支尾根上は雪が消えかかってヤブがでており、スキーを履いたまま尾根通しに歩くのは難しい。
登ってきた支尾根西側の斜面は雪をつなげて歩くこともできそうだが、かなりの急斜面のトラバースが続くことになる。
登りやすいのは、支尾根東側の雪庇の上。
あまり好ましいことではないが、この雪庇の上を足早に登る。
幸い、雪庇上の歩きはそれほど長くなく、主稜線に合流。
眼下には平標山の家。
目指す山頂方向にはガスが巻いている。
主稜線に出て15分ほどで平標山頂着。
登山口から2時間40分。
ステップを活用したのが効いたのか、思ったより速いペースだ。
山頂周辺はガスで、残念ながら眺望は楽しめなかった。
時折ガスが薄くなっても、見えるのは近くの山だけで遠望はきかない。
行動食を補給したら、シールを剥がして滑降だ。
森林限界を超えた稜線周辺は、どこも無立木のオープンバーン。
時間もあるし、まずは足慣らしということで、南側の笹穴沢源頭部のメローな斜面を軽く1本。
斜度的には、この笹穴沢源頭が一番BCクロカン向きだろう。
雪はグズグズでかなり潜るが、重さはそれほどでもなかった。
ステップのままさくさくっと登り返して、再び山頂。
お次は西ゼンだ。
西ゼンは大ナメで有名な沢登りの人気ルート。
源頭部には手頃な斜度の大斜面が広がっている。
しかし、山頂から滑り込もうとすると、直下は結構な急斜面。
BCクロカンだし、雪質も滑りやすいとはいえないし…稜線沿いに少し下って斜度の落ちたところから滑り込むか、と迷うが、やはりここは山頂から、と思い切ってドロップ。
南側よりは少し雪が締まっていて、思ったより滑りやすい。
ワンステップターンで慎重に滑り降りる。
少し斜度が落ち着いたところから、フラットな大斜面を飛ばす。
うほ~、気持ちいい~!
止まるのがもったいなくて、気付けば標高差100m強をノンストップラン。
思っていたとおりの極上斜面で、私の山スキー歴の中でかなり上位に入る、記憶に残る1本になった。
西ゼン1750m付近から、平標と仙ノ倉の鞍部を目指して登り返す。
この登り返しも、試しにステップで登ってみる。
すると、それほど効率悪くなく、「シール初級者のジグザグ登高」くらいの角度で登っていけるので、シールを貼らずにそのまま登ってしまう。
稜線に戻ると、仙ノ倉への登りは、概ね夏道だけに雪が残っているという感じ。
それもところどころ途切れている。
一度スキーを外したが、グサグサに腐って不意に深く潜る雪をツボ足で登るのは面倒。
特に、雪を踏み抜いて木道の階段の隙間に落ちるとかなり深いので、危険。
再度スキーを履いて、そこからは、細い夏道と、その周辺にわずかに残った雪を拾いながら、直登、開脚登高、階段登高から木道歩き(!)まで、あらゆるテクニックを駆使して強引にスキーのまま登る。
頂上直下、最後の最後のひと登りだけは、木道の階段がほぼ完全に露出していたのでスキーを脱ぎ、12:45仙ノ倉山到着。
山頂から、少し北の小ピーク(三ノ字ノ頭というらしいが、地形図には表示はない)に進み、目指すシッケイ沢左俣を確認する。
見える範囲にはデブリなどはなく、状態は悪くなさそう。
が、すぐ足元、小ピーク直下の斜面は相当急だ。
うおー、これを滑るのか?
『ハイグレード山スキー』には「上部は40度程度の急斜面」と書いてあるし、地形図を見ても先ほどの西ゼン直下より明らかに急なのは分かっていた。
それでもまあ、40度くらいはスキー場にも時々あるし、テレマークではもっと急な火打山・澄川源頭や真砂沢の別山直下なども滑っているから、40度なら何とかなるのでは、と甘く見ていた。
しかし、道具がBCクロカン、しかも私の技術ではクイックなターンの困難な今日の雪質でここを滑るのは、かなり度胸が要る。
稜線を歩いて下り、斜度の緩いところから滑り込むという選択肢もあり、実際、そういうシュプールが沢山残されていたが、壁のような急な稜線をBCクロカンブーツで下るというのも、それはそれで怖い。
覚悟を決めて、スキーで滑り込むことにする。
はじめは、雪質を確認しながらの斜滑降+キックターンで、頂上直下の一番激越な部分をやり過ごす。
その後、意を決して最初のターン。
フラットな急斜面がかなり下まで続いているので、すごい高度感。
こわい~~~。
とてもターンをつなげる余裕はなく、ワンターンずつ滑っては止まる。
私のターンで崩れた雪がスラフとなって、ずっと下まで流れていく。
すぐ横には、おそらく先週末に別のスキーヤーが作ったのであろうスラフの跡が残っている。
悪戦苦闘しながら高度を落とし、斜度が緩んだところでスラフ跡から脱出。
すると、そこは思いの外滑りやすいザラメ斜面だった。
そこからさらに一滑りで、沢の幅が狭まり『沢底』という感じになる。
斜度はぐっと緩くなるが、雪は激重で、時折ストップスノーでバランスを崩される。
足に疲れがくる滑りだ。
1か所だけ真新しいデブリがあったが、沢幅の広い部分で、十分通り抜けは可能。
毛渡沢に合流すると、そこからは平坦な河原スキーで、ターンする場面はほとんどない。
登りが出てくるところもあり、こういうところではBCクロカンがありがたい。
『ハイグレード山スキー』には、「毛渡沢と合流したら最初は右岸をそして左岸に渡り、最後は右岸の切り開きのような中を滑り、そのまま群大ヒュッテ前の吊り橋にでて仙ノ倉谷と合流する」とあるので、それを意識しつつ、消えかかったシュプールを追って進む。
残雪量が十分だったこともあり、スムーズに群大ヒュッテ前に到着。
昨年秋にできたという立派な橋を渡る。
この橋ができたおかげで有名な吊り橋渡りをしなくて済むようになった、というのもシッケイ沢を下降ルートに選んだ理由の一つ。
群大ヒュッテの前でストックを長くして、これから先の林道滑走に備える。
しかし、除雪は既にヒュッテから5分ほどのところまで来ていた。
スキーを外して、高い雪の壁に挟まれた林道を歩く。
もう蓬橋15:30発のバスには間に合わないだろうから、急ぐ必要はないと、道端のフキノトウを摘みながらのんびり歩く。
下界は晴天で、春気分を満喫していたら、突然、目の前を激流に遮られる。
林道の上を川のような雪解け水の流れが横切っている。
流れは速く、深さも膝ほどはあると思われ、とても徒渉できそうにない。
一瞬、呆然。
下流を覗くとスノーブリッジがあったので、いったん林道から雪の上に上がってあれを渡るか、などと考えていたら、後ろから車が。
次に軽トラが来るからそれに乗せてもらえ、というありがたいお言葉。
仰せの通り軽トラの荷台に乗せてもらい、激流を渡る。
トラックごと流されるんじゃないか、とちょっと不安を感じるくらいの流れだったが、無事渡り切る。
すると、どうせならこのまま乗っていけ、と言って下さったので、県道まで乗せて頂く。
県道からは、右手の土樽駅の方に歩いていく。
しばらく行くと、「土樽駅」という矢印看板。
その矢印の先は…雪壁(笑)。
これを越えて駅に行けとは、さすが豪雪地だ。
私が目指す蓬橋バス停は、そこから数分のところだった。
軽トラに乗せてもらったおかげで、16:27発のバスまで40分ほどの待ち時間ができた。
のんびりと山スキー装備を解き、蓬橋からの景色を楽しんだりしながら、バスを待つ。
ほとんど貸し切り状態のバスで越後湯沢に戻り、温泉+ビール+地酒で極楽のひとときを過ごした後、新幹線で東京に帰った。
予想以上に急斜面で苦しめられたところを除けば、下山後の楽しみも含めてほとんど狙い通り。
BCクロカンの利点も生かした、会心のツアーとなった。
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