★★2014.04.02 BCXC/志賀~野沢温泉(前編)

BCクロカンを愛するみなさん、こんにちは。
志賀高原焼額山から野沢温泉毛無山へのロングツアーに挑戦しました。
あまりに長くなるので、2回に分けて報告します。

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2014年4月2日 志賀(焼額山)~野沢温泉(毛無山)①

天候:晴れ
装備:(板)サルスティス(靴)Xadv7
<コースタイム>
9:07 焼額山
9:46 竜王分岐
10:47~10:57 ダマシの平
11:31 高標山の肩
12:00~12:24 カヤの平牧場
12:47 北ドブ南端
13:40 1639mピーク
14:00 1649mピーク
14:23 1532mピーク
14:50~14:58 1633mピーク(青木)
15:18~15:35 毛無山
16:05 野沢温泉スキー場 伊勢宮ゲレンデ下

私の初めてのスキーツアーは、テレマーク初体験直後に参加したTAJの火打山ツアーだった。
そのとき、宿泊した高谷池ヒュッテでの酒盛りで、志賀から野沢に抜けるスキーツアーのイベントに参加したという方の話を聞いた。
あまり急なアップダウンのあるルートではないため、山スキー・テレマークだけでなくゲレンデスキー装備で参加される人もいたりと雑多で、その方はクロカンで参加したということだった。

なので、志賀~野沢のツアールートがあることは知っていた(山スキールート図集にも掲載されている)のだが、私はBCクロカンを始める前はがっつり滑るツアーを志向していたため、あまり滑りが楽しめそうもないこのルートに行きたいという気持ちは起きず、その後も興味の対象から外れていた。

ところが、今年の正月に初めて野沢温泉スキー場を訪れたことで、急に野沢が身近に感じられるようになり、あるとき、「そういえば、志賀~野沢のツアールートってBCクロカンに向いてるんじゃないか」と思いついた。
地図を見てみると、なるほど、急な登りや下りは少なく、平らな部分も多い上に、距離は異様に長い。
いかにもBCクロカン向きに見える。
ロングルートを走破したところに極上の温泉が待っている、というのも魅力的。

そこで一気に私の「行きたいルートリスト」の上位に食い込んできて、チャンスを窺っていたところ、先週末土日とも仕事が入って(うち1日は北海道に日帰りでスキーもせずに帰ってくるという悲しいもの)満足に休めなかったため、2日に代休を取ることにし、ここでツアーに行けることになった。

この志賀~野沢ツアー、問題になるのは交通手段である。
標準は1泊2日、残雪期のみ日帰り可能というロングルートなので、是非とも志賀を朝イチで出発したい。
どうやって、朝イチのゴンドラに乗れる時間に焼額山スキー場まで行くか。

もちろんマイカーを使えれば行くのは簡単だが、そうするとその日のうちに志賀に戻って車を回収するということが難しい。
一番いいのは夜行のスキーバスだが、かつてと違って、これを見つけるのが予想外に面倒。
宿泊付きのバスツアーやリフト券付きの日帰りバスツアーはたくさんあるのだが、バスのみの販売をしているところが意外と少ないのだ。
バスのみの販売をしているところも、往復の設定しかないところが大半で、片道料金が設定されている会社は本当に1~2しかない。

しかも、バス運行は3月までというところがほとんどで、今回は4月に入ってしまったため、復路放棄で往復バスを申し込むという手も使えない。
そんな中、1社だけ運行しているところを見つけたのだが、満席で取れなかった。

そうなると、どこかに前夜泊して路線バスで上がるしかない。
調べると、長野で長野電鉄の始発に乗り、湯田中からバスという方法で、焼額山プリンスホテルに8時半過ぎに到着できることがわかる。
8:30の始発ゴンドラには乗れないが、それと大きな遅れなくツアーをスタートできるので、この方法で行くことにする。

前夜泊した長野のホテルを出て、コンビニで朝食と行動食を買い込み、長野電鉄の始発に乗る。
信州中野で電車を乗り継ぎ、7:33に湯田中着。
7:40発の熊ノ湯行きのバスに乗り、蓮池で下車、そこから無料のシャトルバスに乗り継ぐ。
いつも志賀に来るときはマイカーなのであまりよそ見はできないが、こうしてバスの高い客席からじっくり道路の周辺を観察すると、志賀高原というのは穏やかな地形の明るい疎林が多く、BCクロカンで遊べそうな斜面がいくらでもあるな、と思う。

バスは、予定通り8時半過ぎにプリンスホテル南館前に到着。
焼額山山頂直下まで1本で行ける第2ゴンドラの乗り場は目の前である。
スキーをケースから出せば即スタートできるというところまで、準備は調えてある。
ゴンドラ片道券950円を買って、ゴンドラに乗り込む。

ゴンドラを下りたらもう山頂直下。
ここから滑り出してもいいのだが、焼額山から毛無山を結ぶルートであるから、きちんと山頂から出発しておきたいので、緩やかな斜面をわずかに登る。
山頂部は広くどこが本当の山頂なのかよくわからないが、とりあえず一番高そうなところまで登ったら、いざ出発。

一昨日の晩に降雪があったため、雪面は完全ノートラック。

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しかし、この時間はまだ雪が凍り付いている。
山スキーやテレマークならどうってこともないだろうが、私が準備してきた板は、ザラメを軽快な道具で駆け抜けるイメージだったので、3/4エッジのカルフ・サルスティス。
これが思っていた以上にエッジの効きが悪い。
テレマークターンはおろか、ボーゲンでも制動不能。
気合いを入れた横滑りで何とかエッジを効かせ、必死に下りる。
堅く圧雪されたゲレンデをノーエッジクロカンで滑っているようなイメージ。
このときは、せめてフルエッジの板で来ればよかったと思う。

山頂直下の斜面は、思っていたより木が多く、、どこでも通れるという感じではない。
しかも、結構斜度がある。
キックターン(これがまた緊張する)で方向を変えながら、横滑りでカラカラと下りていく。
滑りやすい部分を求めて下っているうちにやや西方向に進みすぎていることに気づき、トラバースで軌道修正すると、赤布と朽ちた道標の残骸を発見。
そこははっきりとした切り開きになっていた。
ということは、山頂でよく探せば、この切り開きの入口があったのかもしれない。

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切り開きで陽が当たっている斜面も、まだカチカチ。
変わらず横滑りで慎重に下りる。

そのうち、「竜王スキーツァーコース」のクラシカルな道標を発見。
さらに、竹竿とロープまで出てきた。
そういえば、竜王越えはスキー場が半ば管理するオフゲレンデのコースになっているとどこかで読んだ記憶がある。

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ロープに導かれて緩やかな斜面を登っていくが、このまま進めば竜王スキー場に行ってしまうはず。
GPSを確認し、野沢を目指して北に進路を変えると、すぐに竜王コースと志賀~野沢コースの道標が一緒に打ち付けられた木を発見。
つまり、ここが竜王コースと野沢コースの分岐点ということだ。
ドンピシャリ。
迷いなく北に進路を取る。

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野沢コースには切り開きはない。
道標や赤布・赤(オレンジ?)テープの目印は一応あるが、間隔はまばらで、あてにならない。
視界が悪いときにはほとんど期待できないかもしれない。

なぜか逆さまになっている道標がよくある
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コンパスを頼りに北へ進んでいく。
進むにつれて雪が凍った部分は少なくなってくるが、踏むとミシッといいながら沈む何とも言えない重い雪で、細いサルスティスはまるでレールにはまったように雪面に沈み、ずれてくれない。
一昨日の晩に雪が降ってから丸2日あり、特に昨日は1日晴れで気温も高かったので、雪はもうザラメ化してるんじゃないかと思っていたのだが、甘かった。
この雪質、この板に私の技術ではテレマークターンはとてもできず、開脚全開のボーゲンでおたおたと下る。

やがて、前方右手に沢状の地形が現れる。
その先は結構沢が深くなっている。
なんであの方向にあんな沢が見えるんだろう、と地図を確認すると、目指す尾根より一本西側の小尾根に向かって進んでいることがわかる。
GPSの小さな画面だけ見ていたために、大きな位置関係がわからなくなっていたのだ。
やはり地図の確認が重要とあらためて感じる。

幸い間違った尾根を下り始める前に気づいたので、登り返しまでは必要なく、軌道修正。
沢の源頭部を横断して、右へ右へと大きくトラバース。
目指す尾根に入ったな、と思ったら、道標を発見する。
この後もずっと道標はこんな感じ。
順にたどって進めるほどたくさんあるわけではなく、道標なしに進む区間の方が圧倒的に長いのだが、こうして時々目に入るので、自分が正しいルート上にいると確認して安心できる、という意味では大変助かる。

大トラバースを終えて、ダマシの平に下る広い尾根に出ると、眼下には何ともおいしそうな、BCクロカン向けのメロウなシラカバの疎林が広がる。

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しかし、やはりこれが泣きたくなるほど難しい雪質。
モナカ雪は別格として、それ以外では最難レベルの雪質だろう。
この好斜面もボーゲンで下ることを余儀なくされる。

下りきったところがダマシの平。
立派なブナが並ぶ明るい林だった。
ここまで夢中で進んできたが、ここで初めてまとまった休みを取る。

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手早く栄養補給をしたら、出発。
コンパスと地図とGPSをとっかえひっかえしながら進んでいく。
このルート、基本的にはずっと北に進むルートで、おおむね尾根伝いではあるのだが、広い尾根や平らで複雑な地形が随所に出てくるので、ルートファインディングは容易とは言えない。
天気は快晴で視界は完全だし、コンパスと地図のみで走破したいところだが、ルートファインディングにかかる時間の節約や、大きなルートミスで時間をロスするリスクを考えると、やっぱりGPSは利用せざるを得ない。

さて、焼額山からダマシの平まではおおむね下り基調だったが、ここから高標山の肩へは、このルートで最初の本格的な登りとなる。
しかしそれほど急ではなく、シールなし、ウロコのみで充分登っていける。
この登りは、明るいブナ林の好斜面。
んー、ここを滑りたい!と思いながら登る。

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この広い尾根がどこでも滑れるような疎林になっている。
ダマシの平に下ってきた斜面といい、この高標山の斜面といい、このあたりはBCクロカンに最適の環境だ。
ただ通過するのではなく、ダマシの平にキャンプを張って周辺を滑りまくったら、相当楽しいだろうと思う。

高標山の肩を越え、緩やかなアップダウンの尾根を少し進むと、カヤの平牧場への長い下りになる。
ここもBCクロカン向きの斜度。
そして、ここの下りで初めて、難しいながらもそれなりに滑れる雪質となり、本日初めてのテレマークターンを決める。
ボーゲンでの下りもそれなりに楽しいけれども、やっぱりテレマークは気持ちがいい。
しかしそれもつかの間で、中段から下はまた、ずれない雪質に戻り、ボーゲンになる。

下りきって、12:00、カヤの平牧場着。
ザラメを快適に飛ばす目論見だったのが、下りで思わぬ苦労することとなってしまったので時間が心配だったのだが、何とか3時間でカヤの平まで行ければいいなと思っていた通りに進むことができており、安心する。

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牧場にはスノーモービルのトレースがあった。
過去のツアー記録を読むと、このカヤの平でスノーモービルと遭遇し、怨嗟の思いを綴っているものが多いのだが、平日だったこともあってか、私は幸いモービルと出会うことはなかった。
トレースも、くるっと一回りしている程度で、ズタズタにされているという感じではない。
雪原を横切り、総合案内所の建物の前で大休止とする。

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一応予定通り来ているとはいえ、まだまだ先は長い。
シャリバテにならないよう、しっかり栄養補給する。
建物があるのでもしや、と思って携帯の電源を入れてみると、案の定電波が来ている。
メールチェックをし、ついでにまほろば倶楽部の掲示板にも実況報告をしてしまった。
(続く)

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