★★2015.02.01 BCXC/霧ヶ峰

BCクロカンを愛するみなさん、こんにちは。
初めて行ってみた霧ヶ峰は、BCクロカンの楽園でした!

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2015年2月1日 霧ヶ峰

天候:晴れ
装備:(板)アウタバウンズクラウン(靴)Xadv6
<コースタイム>
6:48 八島駐車場
7:34 沢渡
8:14~8:18 車山肩
8:56~9:15 車山
9:30~9:45 車山肩
10:14~10:22 車山
10:44 車山乗越
10:58~11:07 殿城山西側の沢下降点
11:09~11:22 沢底(1715m)
11:33~11:41 尾根上(1780m)
11:43~11:49 沢底(1700m)
12:17 沢下降点
12:44~12:53 車山直下1905m
13:08~13:28 車山肩
13:37~14:15 沢渡スキー場滑降(3本)
15:05 八島駐車場


BCクロカンでツアーをするようになって間もないころから、霧ヶ峰は気になっていた。
白山書房の『山スキールート図集』ではクロカン向きのコースとして紹介されていたし、パウダーガイド社の各種ガイド本にも繰り返し取り上げられている。
地図を見れば、広大な高原に緩やかな山が連なる地形はいかにもクロカン向きと思える。

しかし、このエリアは、雪が少なくて、猛烈に寒く、吹きさらしの強風地帯ということで、「雪が固そう」というイメージが強く(冬に行ったことはないので全くのイメージなのだが)、また地形が緩やかすぎてあまり滑りは楽しめないのではないかという心配もあった。
そのため、候補にはずっと挙がりつつも、霧ヶ峰にはなかなか足が向かなかった。

しかし、ソウルスライド2015に掲載された車山コロモデトワルの佐藤さんの記事で、場所によってはなかなかのパウダーが楽しめると知り、イメージが変わった。
特に、このエリアでは北斜面に雪が溜まりやすいという話を読んで、地形図読みが一気に面白くなった。

この週は、金曜に南岸低気圧が関東を通過して太平洋側で雪が降り、その後強い冬型となって、予定していた日曜は多雪地帯では大雪への警戒が報じられていた。
一方で、太平洋側気候に近い東信や八ヶ岳は晴れ予報。
これは八ヶ岳周辺のツアーにグッドタイミングということで、初めての霧ヶ峰ツアーに行ってみることにした。

私のいつものスタイルで前夜発、途中で仮眠をとる。
何となく遠いというイメージで先を急いだ結果、車山に5時半と早く着きすぎてしまう。
高井戸から諏訪南インターまでは160km、諏訪南インターから車山高原まで30kmだから、実はそんなに遠くないのである。

まだ真っ暗な中、車山高原スキー場を通り過ぎてビーナスラインに車を走らせる。
道路脇の様子から、思っていたよりもずっと雪が多いことが分かる。
これは期待できる。

計画書では八島湿原スタートで車山まで歩くことにしていたが、やっぱり車山肩に駐車して滑り中心で行こうかな、などと考えるが、車山肩駐車場の除雪してあるスペースは非常に狭く、この時間で既に満車になっている。
そのため予定通り八島駐車場に向かう。
途中、路肩、というか片側車線上に3台も車が連なって止まっていて、事故かと思ったら、三脚を持った人々が降りてきている。
どうやら人気の撮影スポットらしい。

八島駐車場もあまり広くは除雪されておらず、車2台がすれ違えるほどの道幅で40~50mほど除雪してある脇に2台分の駐車スペースが作られているが、そのうち1台分は雪が溜まっていて、もしこんな所でスタックしたらと考えると入る気が起きない。
もう1台分のスペースには既に車が止まっており、どうしようかと思う。
すると、後から来た車が、慣れた様子で「車2台分がすれ違えるほどの道幅」の除雪部分の片側に寄せて駐車していたので、それに倣い、その車の後ろに縦列駐車する。

まだ真っ暗なのに、前の車の人はヘッドランプを点けてスノーシューで出発していく。
やはり三脚を持っている。
先に止まっていた1台にも、三脚を持った人たちが戻ってきて、しばらくしてまた出かけていった。
こんな朝早くにこんな奥地に車を駐めるのは自分だけだろうと思っていたので、ちょっと驚いた。

私は、空がだいぶ明るくなり始めた6時48分に駐車場を出発。
「八島湿原入口」というトンネルをくぐって湿原に出る。
早暁の湿原の眺めは美しく、熱心なカメラマンの皆さんが夜明け前から動き出していたのも納得できる。
降雪後の週末で晴天というのは、我々スキーヤーだけでなく、アマチュアカメラマンの皆さんにとっても絶好のチャンスなのだろう。

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湿原入口で写真を撮り、スキーを履く準備をしていると、湿原を眺めていたおじいさんから「スキーを履いて歩くの?」と聞かれ、そうですと答えると、「ここだったらスノーシューのほうが歩きやすいだろう」と笑いながら言われる。
いやいやスキーのほうがずっと速いだろう、と思うが、おじいさんはアルペンスキーしか知らずに、スキーなんてと思ったのかもしれない。

さて、湿原の回りには、おおむね夏道通りにしっかりとしたスノーシューのトレースがある。
雪は結構な深さで、柔らかい。
もうこの時点で、これまでのイメージと全然違う。
竹竿が立っており、積雪期でも湿原には入らないようにという看板がある。
そのため、雪原はノートラックである。

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左に雪原を望みながら、雪化粧した樹林の中スキーを走らせるのは最高の気分。
前方には朝日に輝く車山が見える。
こんな景色が見られるとは、八島湿原スタートは大正解だった。

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トレース上をどんどん進む。
沢渡からは沢渡スキー場跡の登りとなる。
結構な斜度があるが、トレースは直登のラインでついている。

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この斜度をウロコだけで直登するのはかなり厳しいが、ムキになってそのままウロコで登る。
かなりのテクニックがないと登れないし、登れてもズリズリと細かいバックスリップを繰り返しながら一歩一歩進むので、スピードダウンは避けられない。
ここは直登するなら素直にシールを貼るのがお勧め(笑)。

スキー場跡の上部にはロープが張られている。
くぐるのは訳ないが、滑っては通り抜けられないので注意。

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沢渡スキー場跡を登り切ると、車山肩は目の前。
肩から車山へは、最短ルートをウロコで登ることはとてもできないが、南に回り込む夏道のルートならウロコでも登れそうである。
スノーシューの先行者のトレースもあったので、迂回ルートに進む。

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迂回ルートで回り込んで稜線上に出ると、八ヶ岳の向こうに富士山が姿を現す。
なるほど、夜明け前に路上駐車していたカメラマンの皆さんはこれを狙っていたのか、と分かる。

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やはり稜線上は斜度が緩やかで、ウロコでも十分登れる。
ただ、部分的に雪が飛んで固い雪面が出ておりウロコが効かないところもある。
コンディションによっては困難な時もあるかもしれない。
しかし今回は問題なくウロコのみで車山頂上到着。

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車山神社
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眼下には車山湿原が広がり、歩いてきた八島湿原も望める。

車山湿原と蝶々深山
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八島湿原
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広い頂上をぐるりと歩き回って展望を楽しんだら、いよいよ車山北斜面の滑降である。
頂上直下は崖マークのある急斜面なので、左から回っていく。
積雪は十分だが、上部はややウインドパックされているので慎重に滑っていく。
すると、中段から下で斜度が増すとともに雪が軽く深くなり、気持ちの良いパウダー滑降となる。

左端が私のシュプール
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ここも夏道から下の湿原側には入らないというのがルールのようなので、夏道沿いのトレースに合流したら、車山肩に戻る。
緩い登りだが、ステップ板なら問題なく登れる。

車山肩にはバイオトイレが設置されており、1台は冬でも使えるようになっている。
これはありがたい。
(なお、車山頂上のすぐ下は車山高原スキー場の最上部リフトの降り場であり、その横のレストハウスのトイレも使えるのだと思う)
この時間になると、この車山肩にも大勢のアマチュアカメラマンがやってきており、風景や霧氷などを撮影している。
他にもスノーシューイングを楽しむ人や、もちろんスキーヤーもいて、大変な賑わいだ。
こんなに人気があるところだとは全然知らなかった。

一休みしたら、車山北斜面をもう1本行く。
先ほどの斜面は、上部がウインドパックされていていまいちなこともあり、楽しい部分が短いのがちょっと残念なのだが、肩から頂上まではウロコのままさほど時間もかからずに登れるので、気軽にもう一本行こうかという気になる。
もしシールを貼ったり剥がしたりが必要だったら、面倒な感じが先に立つかもしれないが。
その意味で、まさにBCクロカン(あるいはステップ板)向き。

再度眺望を楽しみながら30分ほどで頂上に登り返す。
2本目は違うラインで、とも思ったがよくわからず、同じラインを滑る。
その代わり、もう勝手は分かったので、先ほどより思い切りよく滑り込む。

さらに左端が2本目のシュプール
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夏道トレースに出たら、今度は逆方向の車山乗越へ。
途中、頂上直下から北斜面を見上げると、まだまだラインはとれそうである。
またBCクロカンだったら頂上からの滑降にこだわらず、下部のおいしいところで繰り返し楽しむという手もありそうだ。
今後の研究課題。

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車山乗越から、ソウルスライドの佐藤さん記事で紹介されていた殿城山西側の沢に向かう。
殿城山は、地形図には山名表示のない、エコーバレースキー場をぐるりと取り囲む稜線の東端にある1800mのピーク。
車山乗越から北に少し登った1832mの小ピークから続く台地の北端がドロップポイントになる。
はじめは左側から回り込んだ斜面が良さそうに見えたが、すぐに小雪庇に行く手を阻まれ、登り返す。
斜面を観察すると、今日は「姫木平」という標識が指す方向に滑り込むのがいいようだ。

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上部の短いオープンバーンから樹林帯に入っていくと、予想以上の深雪パウダー!
本日一番のコンディション。
正直、車山北斜面では「雪が溜まっているとはいっても、やっぱりこのエリアではこのくらいなのね」と思ったのだが、ここは本当に最高だ。

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沢底に着いたら登り返し。
雪深く斜度もあるので、さすがにここはシールを使う。
見ると、滑ってきた樹林のクライマーズ・レフトにオープンバーンが広がっており、そこも雪が良さそう。
本当はこの後蝶々深山~物見岩と周遊して八島湿原に戻ろうと思っていたのだが、予定変更、オープンバーンの上まで登り返したら、シールを外してもう1本。

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再び沢底でシールを貼り、今度はドロップポイントまで登り返す。
さらにシールを貼ったまま進み、先ほど下から観察した車山北斜面の頂上直下まで登る。
ここはウインドパックされておらず、上から下まで柔らかい雪が楽しめた。

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さて、もう相当歩き、滑ってかなり疲れたし、いい時間にもなっていたので、車山肩から往路を戻って帰ることにする。
車山肩で、そういえば駐車場はあんなに狭かったのにこれだけの人たちがどこに車を駐めているのだろうと思ったら、未明に見たアマチュアカメラマンと同じように、路上に車を寄せて駐車していたのだった。
どうやらこれがここの文化らしい。

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これだけの車が連なって片側車線をふさいだら通行に支障があるのではと思ったが、それほど混乱は生じていない。
もともと、この時期にスキー場より先のこの道を走る車は少ないし、走っているのはほとんどが「同好の士」のようなものだから、お互い様ということなのだろう。

さて、往路を戻るといっても、途中には沢渡スキー場跡というお楽しみ斜面がある。
完全なオープンバーンなので、風と日射で雪はやや締まっているが、潜りすぎないそのコンディションはこのメロー斜面にはかえって調子が良く、浅いターンでスイーと飛ばしていくとこれがまた最高に気持ちいい。
疲れているのに、性懲りもなく登り返してまた3本滑る。

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旧沢渡スキー場からは、往路のトレースを「なんちゃってパスガング」を交えながらスキーを滑らせ、最後にしつこく八島湿原脇の斜面を滑って、駐車場に戻る。
最後、八島湿原から車山を振り返ると、北斜面やスキー場跡の自分のシュプールが一望でき、気分が良い。

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歩きまくり、滑りまくって、総移動距離19.8km、累積標高差2574m。
BCクロカンにとっては、その機動力を発揮できる、最高の遊び場だ。
今までいろいろ理由をつけて食わず嫌いしていたのが、恥ずかしい限り。
ただ、ネットの情報を見ると、やはり今年はこのエリアでもまれに見る積雪量らしいので、今回は特に幸運だったということもあるのかもしれない。

一方、注意しなければならないのは、寒さ。
今回は快晴で風も弱いという恵まれた気象条件だったが、それでもかなり寒かった。
私は暑がりなので、ツアーでの行動中は、ウールまたは化繊の山用アンダーウエアに薄めのソフトシェルジャケットというレイヤリングが通常なのだが、この日は間に防寒用のフリースジャケットを着込んだ。
これだと日が高くなったり登りになったら暑くなってフリースを脱ぐことになるだろうと思っていたのだが、少し暑いなと感じる時がわずかにあったものの、結局最後まで脱ぐことはなかった。
手袋も、マイクロフリースの薄手手袋に中厚手の手袋を重ねるといういつものスタイルでは指先が冷たくなってしまうときもあり、ゲレンデスキーで使う一番厚い手袋も持っておくべきと思った。

この寒さのこともあり、ここは、天気が悪いと楽しさが大幅に減じられてしまうのではないかと思う。
今回のような天気なら、本当に最高。
そして、この日滑ったところ以外にも、楽しめそうな場所がまだそこらじゅうにあった。
絶対にまた来よう。


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この記事へのコメント

na
2015年02月08日 08:34
霧ヶ峰としては絶好のコンディションに出会えましたね。
沢渡スキー場跡等、部分的には良い場所があっても、全体としては軽い雪が強風で吹き飛ばされて、カチカチだったり、クラストだったりする事も多く、ラッキーだったのではないでしょうか。

私がスキーを始めて最初のツアーも霧ヶ峰で、その頃の道具立ては、サロモンのグリーンランドというクロカンブーツに板はガルモント・モナシーでした。その後、硬いコンディションに何度か泣かされ、T3やT4で行く事が多くなってしまいましたが、やはり、本来はBCクロカンで軽快に遊びたい場所だと思います。

あまり話題になりませんが、車山北面直下の急な部分は何度か雪崩跡を見ていますので、コンディションによっては注意が必要かと思います。
Seki
2015年02月08日 11:11
naさん、こんにちは。

やっぱりあれはラッキーだったんですか…私が行った日は風も弱かったですしね。
私の元のイメージもそんなに間違ってはいなかったってことですね。
参考になります。ありがとうございます。

車山北面直下の雪崩リスクについては、私も下調べの段階でネットで見ました。
気をつけないといけないですね。

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