★★2022.04.02~03 BCXC/武尊田代
BCクロカンを愛するみなさん、こんにちは。
GWの記録の前に、4月の記録を1本。
以前から気になっていた、武尊田代に行ってきました。
私には珍しく(?)とてもBCクロカンらしいツアーになりました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2022年4月2日~3日 武尊田代
<4月2日>
天候:晴
装備:(板)クナイスル・ツアーライト59(靴)NORDLAND
<コースタイム>
8:28 旧武尊牧場スキー場
9:44~10:00 武尊山登山口(旧スキー場トップ)
11:20~11:36 避難小屋
11:56 稜線1820m
12:07 武尊避難小屋
12:57~13:48 田代湿原
14:21 西山西面1640m
14:50 田代湿原
15:17~30 武尊田代1615m
15:58 田代湿原(泊)
4月初めの週末に、泊まりでツアーに行けることになった。
せっかくなので、テント泊で行くことにする。
前回の平標山ではザラメ期待が早すぎて大変な思いをしたが、今回はいよいよザラメシーズン突入で、ヤマレコなど見ても好コンディションが報告されている。
ところが、直前に寒の戻りがあり、木曜には山で降雪もあった模様。
金曜には少し暖かさが戻ったが、雪のコンディションがどうなるかは微妙。
第1候補は『山スキー百山』で紹介されていた、三岩岳からミチギノ沢を滑ってキャンプするプランだったのだが、標高が高く標高差も大きいルートは、はまるとやばそう。
第2候補の武尊に行くことにする。
出発地は旧武尊牧場スキー場。
ここは、BCクロカンを初めて間もない頃、パウダーシーズンに1度来たことがある。
スキー場は廃業してしまったが、その後も道と駐車場は除雪されているという情報で、山行記録もわずかながら上がっている。
行ってみると、道は除雪されてはいるが整備までは行き届いていないようで、大きめの落石や太い木の枝が散乱しているところもある。
駐車場はかなり広く除雪されていて、先行車が3台駐まっていた。
駐車場の先の、スキー場の中を上がっていく道も除雪されているが、先の状況は分からないし、関係者以外立ち入り禁止の看板も立っているので、チャレンジはやめて駐車場に車を駐める。
駐車場から雪の上に上がり、スキー場へと登っていく。
天気は快晴。
ゲレンデに出ると、3月まで営業していたと言われたらそうかと思うくらい、きれいなバーンが広がっている。
ゲレンデ下部は緩斜面なので行けるところまでシールは貼らずにウロコで登ろうと思っていたが、雪面が堅くウロコが効かないので、すぐにショートシールを貼る。
登っていると、上からスノーボードとスキーのカップルが滑り降りてきてあいさつを交わす。
ゲレンデには登りのトレースもあった。
ゲレンデは次第に斜度を増し、いずれにしてもウロコで上まで行くのは無理だっただろう。
場内の道路の除雪は上まで続いていて、ときどき登っていく車がある。
道路を避けるようにゲレンデを登っていく。
スキー場は中間部が一番斜度がきつく、そこを登り切るとまた緩斜面になる。
その登り切ったところの、旧レストハウスと思われる建物の前の広場が陸上トラックのように整備(圧雪)されていて、クロカンの練習をしていた。
私が通ったときには、そのトラックの脇にピステンをかけている最中で、すれ違って登っていく。
そのトラックを過ぎて中斜面を少し登ると、スキー場トップ。
夏は今もキャンプ場になっている明るい高原で、雪に埋もれたバンガローなどが林の中に点在している。
とても良いロケーション。
白樺林の緩やかな斜面は、雪質が良ければ滑っても気持ちよさそう。
ここから先は尾根上の夏の登山道を行くが、斜度がぐっと緩やかになるので、シールを外す。
すると、スキーが走る、走る!
緩い登りでもスキーが滑って、超気持ちいい。
これぞクロカン。
ここ数年の『なんちゃってパスガング』の修練の成果もあるのかな?
旧スキー場トップから1時間20分ほどで、避難小屋に着いた。
前回来たときの記録では、この尾根上の夏道沿いは「期待していたより樹間が狭い」と書いていて、そういう記憶でもあったのだが、今回あらためて来てみるとそうでもなく、周囲に滑ってみたいと思わせる部分も結構あった。
やはり木曜に降雪があったようで、ザラメの上に数センチの新雪が載っている。
避難小屋は、扉が開けっぱなしだったのか、雪が吹き込んでいた。
避難小屋前では、先行の山スキーヤーが休憩していた。
2日間通して、今回山の中でお会いしたのはこの方お一人。
大休止のあと、この先のゼビオス岳は眺望が良いという情報だったので、そこまでは行ってみようかと尾根を登り始めるが、尾根上は雪が大きくうねっており、登るのは難儀、帰りの滑りも楽しくなさそう、ということで、ほどなく打ち切って戻る。
避難小屋前まで戻ったら、今度は反対側の武尊田代に向かう。
ゼビオス岳~武尊山方面はネット上にそれなりに記録があるが、武尊田代はスキーの記録はほとんどない。
見通しの悪い針葉樹林帯の中を、GPSを確認しつつアップダウンしながらしばらく進むと、やがて針葉樹林帯から明るいブナ林に出る。
この武尊田代のブナ林の素晴らしいこと!
周囲にブナ林以外のものが見えない、完全にブナに囲まれた感覚。
普通は、かなりよいブナ林でも、樹相が変わる部分があったり、山の斜面が立ち上がっていたり、逆に沢が落ち込んでいたりして、ずっと平らにブナ林が続くのが見える、ということはないものだが、ここは、広大な緩斜面がすべてブナ林になっていて、360度どこを見ても、視界の届く範囲すべてブナ林なのだ。
こんなのは初めてだ。
斜度はきわめて緩やかなので、直滑降をするだけなのだが、この無限のブナ林の中をスーっと進んで行く感覚は、今までに経験したことがないもので、感動に震える。
ターンするより気持ちのいい直滑降があるのだと知った。
ま、しかし、そんな気持ちいい直滑降もあまりに長いと飽きてくる(笑)。
まだかなー、と思い始めると、ブナ林の先に雪原が見えてきて、田代湿原に到着。
ここもとてもきれいなところ。
計画では、ここまではほとんど滑りにならないと思っていたので、このあと西山に登り、山を越えて北側斜面で滑りを楽しみ、津奈木橋付近で幕営するつもりだった。
しかし、木曜の降雪の影響が残ったこのコンディションでは、西山から重荷を背負って滑っても快適ではないことが予想された。
そして、キャンプサイトとしてはここの方が圧倒的に気持ちがいいはず。
そこで、ここで行動を打ち切り、西山を望む田代湿原の畔にテントを張る。
設営を終えると、まだ十分時間はあるので、散策に出る。
まずは湿原を横断して、西山の西斜面に取り付く。
思ったより樹間は広く、滑りやすそうな感じだが、雪はあまり良くない。
適当なところで登りを打ち切って滑るが、やはり潜ってずれにくい難しい雪だった。
戻って田代湿原の向こうのマキバの沢に下りて、水が汲めないか見てみようと思っていたのだが、新鮮な、くまさん(?)と思われる足跡が沢の方に続いていたので、やめる。
そこで、武尊田代を登り返し、明日の偵察を兼ねて、江戸沢に下りる斜面を見に行く。
樹は少なく、斜度も良い感じ。
試しに少し滑ってみるが、南面のこちらは雪が緩んで深く潜り、やはり簡単ではなかった。
今日はここまでとして、テントに戻った。
<4月3日>
天候:くもり
<コースタイム>
8:00 田代湿原
9:10~9:18 武尊避難小屋下1724m
10:02 武尊山登山口(旧スキー場トップ)
10:33 旧武尊牧場スキー場
昨夜は寒さが厳しく、0時過ぎに目が覚めると、その後はなかなか寝付けず眠ってもまた何度も目が覚めるという、辛い夜を過ごした。
明るくなってテントの外に出ると、雪はカチカチにクラストしている。
これが緩んでくれないとBCクロカンでは快適な行動はできないので、出発を急ぐ必要はない。
朝食を済ませ、朝日が差してくると、テントの中も少しずつ暖かくなってくる。
この調子なら順調に雪も緩んでくれるだろうか。
ところが、次第に雲が出始め、8時頃には空全体が雲に覆われて、そのうち雪が降り出してもおかしくないような様子になってくる。
ラジオの天気予報でも、午後には雨が降り出す(もちろん平地の話)ようなところもあるようなことを言っていて、天気がまた回復することもないようだ。
これでは待っていても雪が緩むこともなさそうだ。
西山を1本滑ろうかと思っていたが、とりやめ。
早々に撤収して下山することにする。
まずは武尊田代へ登り返す。
昨日は直滑降にしかならないような緩斜面だったが、クラストしていてウロコが効かないので、シールを貼って登る。
ブナ林を登り切って針葉樹林帯に入り、昨日のトレースをたどって小さなアップダウンをしながら進み、避難小屋への最後の登りの下まで来る。
しかし、避難小屋まで登っても、この雪質では辛い下りが長くなるだけだと判断。
ここでシールを外すことにする。
武尊牧場から武尊避難小屋までの尾根は全体にとても緩やかだが、避難小屋の少し手前に少し斜度が強くなる部分がある。
雪質が良ければBCクロカンで滑るのにちょうど良いくらいの斜度だが、木曜に積もった雪がクラストした今日の雪質ではここが核心部になる。
しかし幸いにも、今日はそーっと横滑りすれば表面を割らずに滑れるくらい、クラストが堅くなっている。
大きなザックを背負い、足を開き腰を落としてそろそろと横滑りする図は見栄えが悪いが、気にしてはいられない(どうせ誰も見てないし)。
両足均等になるように注意しながら慎重に下りていき、斜度が落ちる部分で無事登りのトレースに合流する。
そこから先はボーゲンも使えて、直滑降にボーゲンを交えて下っていく。
スキー場のゲレンデまで戻るとようやくテレマークターンもできるようになるが、堅くて急な部分は横滑りで下りる。
最後はスキー場ベースの初・中級コースだったと思われるコースを楽しく滑って、駐車場に戻った。
武尊田代は、以前から地図で眺めて、BCクロカンで行ったら良いんじゃないかと気になっていた。
しかし滑って楽しそうな斜度ではないことは明らかだったので、それほど期待していたわけではなかったのだが、予想をはるかに超える素晴らしさだった。
季節外れの新雪で雪面が真っ白になり、空は快晴というコンディションが、さらにブナ林の美しさを引き立てていたのも幸運だった。
一方、やはり気になっていた西山の斜面も偵察できて、今度はパウダーシーズンに来てみたいと思った。
スピードを出して気持ちよく滑るというシーンはほとんどなかったが、それでも思い出に残る、よいツアーになった。
ツアー記録一覧へ
GWの記録の前に、4月の記録を1本。
以前から気になっていた、武尊田代に行ってきました。
私には珍しく(?)とてもBCクロカンらしいツアーになりました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2022年4月2日~3日 武尊田代
<4月2日>
天候:晴
装備:(板)クナイスル・ツアーライト59(靴)NORDLAND
<コースタイム>
8:28 旧武尊牧場スキー場
9:44~10:00 武尊山登山口(旧スキー場トップ)
11:20~11:36 避難小屋
11:56 稜線1820m
12:07 武尊避難小屋
12:57~13:48 田代湿原
14:21 西山西面1640m
14:50 田代湿原
15:17~30 武尊田代1615m
15:58 田代湿原(泊)
4月初めの週末に、泊まりでツアーに行けることになった。
せっかくなので、テント泊で行くことにする。
前回の平標山ではザラメ期待が早すぎて大変な思いをしたが、今回はいよいよザラメシーズン突入で、ヤマレコなど見ても好コンディションが報告されている。
ところが、直前に寒の戻りがあり、木曜には山で降雪もあった模様。
金曜には少し暖かさが戻ったが、雪のコンディションがどうなるかは微妙。
第1候補は『山スキー百山』で紹介されていた、三岩岳からミチギノ沢を滑ってキャンプするプランだったのだが、標高が高く標高差も大きいルートは、はまるとやばそう。
第2候補の武尊に行くことにする。
出発地は旧武尊牧場スキー場。
ここは、BCクロカンを初めて間もない頃、パウダーシーズンに1度来たことがある。
スキー場は廃業してしまったが、その後も道と駐車場は除雪されているという情報で、山行記録もわずかながら上がっている。
行ってみると、道は除雪されてはいるが整備までは行き届いていないようで、大きめの落石や太い木の枝が散乱しているところもある。
駐車場はかなり広く除雪されていて、先行車が3台駐まっていた。
駐車場の先の、スキー場の中を上がっていく道も除雪されているが、先の状況は分からないし、関係者以外立ち入り禁止の看板も立っているので、チャレンジはやめて駐車場に車を駐める。
駐車場
駐車場から雪の上に上がり、スキー場へと登っていく。
天気は快晴。
ゲレンデに出ると、3月まで営業していたと言われたらそうかと思うくらい、きれいなバーンが広がっている。
ゲレンデ下部は緩斜面なので行けるところまでシールは貼らずにウロコで登ろうと思っていたが、雪面が堅くウロコが効かないので、すぐにショートシールを貼る。
登っていると、上からスノーボードとスキーのカップルが滑り降りてきてあいさつを交わす。
ゲレンデには登りのトレースもあった。
ゲレンデは次第に斜度を増し、いずれにしてもウロコで上まで行くのは無理だっただろう。
場内の道路の除雪は上まで続いていて、ときどき登っていく車がある。
道路を避けるようにゲレンデを登っていく。
スキー場は中間部が一番斜度がきつく、そこを登り切るとまた緩斜面になる。
その登り切ったところの、旧レストハウスと思われる建物の前の広場が陸上トラックのように整備(圧雪)されていて、クロカンの練習をしていた。
私が通ったときには、そのトラックの脇にピステンをかけている最中で、すれ違って登っていく。
そのトラックを過ぎて中斜面を少し登ると、スキー場トップ。
夏は今もキャンプ場になっている明るい高原で、雪に埋もれたバンガローなどが林の中に点在している。
とても良いロケーション。
白樺林の緩やかな斜面は、雪質が良ければ滑っても気持ちよさそう。
ここから先は尾根上の夏の登山道を行くが、斜度がぐっと緩やかになるので、シールを外す。
すると、スキーが走る、走る!
緩い登りでもスキーが滑って、超気持ちいい。
これぞクロカン。
ここ数年の『なんちゃってパスガング』の修練の成果もあるのかな?
先行者1名のトレースあり
旧スキー場トップから1時間20分ほどで、避難小屋に着いた。
前回来たときの記録では、この尾根上の夏道沿いは「期待していたより樹間が狭い」と書いていて、そういう記憶でもあったのだが、今回あらためて来てみるとそうでもなく、周囲に滑ってみたいと思わせる部分も結構あった。
やはり木曜に降雪があったようで、ザラメの上に数センチの新雪が載っている。
避難小屋は、扉が開けっぱなしだったのか、雪が吹き込んでいた。
避難小屋前では、先行の山スキーヤーが休憩していた。
2日間通して、今回山の中でお会いしたのはこの方お一人。
大休止のあと、この先のゼビオス岳は眺望が良いという情報だったので、そこまでは行ってみようかと尾根を登り始めるが、尾根上は雪が大きくうねっており、登るのは難儀、帰りの滑りも楽しくなさそう、ということで、ほどなく打ち切って戻る。
うねる雪面
霧氷はきれいだった
避難小屋前まで戻ったら、今度は反対側の武尊田代に向かう。
ゼビオス岳~武尊山方面はネット上にそれなりに記録があるが、武尊田代はスキーの記録はほとんどない。
見通しの悪い針葉樹林帯の中を、GPSを確認しつつアップダウンしながらしばらく進むと、やがて針葉樹林帯から明るいブナ林に出る。
この武尊田代のブナ林の素晴らしいこと!
周囲にブナ林以外のものが見えない、完全にブナに囲まれた感覚。
普通は、かなりよいブナ林でも、樹相が変わる部分があったり、山の斜面が立ち上がっていたり、逆に沢が落ち込んでいたりして、ずっと平らにブナ林が続くのが見える、ということはないものだが、ここは、広大な緩斜面がすべてブナ林になっていて、360度どこを見ても、視界の届く範囲すべてブナ林なのだ。
こんなのは初めてだ。
斜度はきわめて緩やかなので、直滑降をするだけなのだが、この無限のブナ林の中をスーっと進んで行く感覚は、今までに経験したことがないもので、感動に震える。
ターンするより気持ちのいい直滑降があるのだと知った。
ま、しかし、そんな気持ちいい直滑降もあまりに長いと飽きてくる(笑)。
まだかなー、と思い始めると、ブナ林の先に雪原が見えてきて、田代湿原に到着。
ここもとてもきれいなところ。
計画では、ここまではほとんど滑りにならないと思っていたので、このあと西山に登り、山を越えて北側斜面で滑りを楽しみ、津奈木橋付近で幕営するつもりだった。
しかし、木曜の降雪の影響が残ったこのコンディションでは、西山から重荷を背負って滑っても快適ではないことが予想された。
そして、キャンプサイトとしてはここの方が圧倒的に気持ちがいいはず。
そこで、ここで行動を打ち切り、西山を望む田代湿原の畔にテントを張る。
設営を終えると、まだ十分時間はあるので、散策に出る。
まずは湿原を横断して、西山の西斜面に取り付く。
思ったより樹間は広く、滑りやすそうな感じだが、雪はあまり良くない。
適当なところで登りを打ち切って滑るが、やはり潜ってずれにくい難しい雪だった。
戻って田代湿原の向こうのマキバの沢に下りて、水が汲めないか見てみようと思っていたのだが、新鮮な、くまさん(?)と思われる足跡が沢の方に続いていたので、やめる。
そこで、武尊田代を登り返し、明日の偵察を兼ねて、江戸沢に下りる斜面を見に行く。
樹は少なく、斜度も良い感じ。
試しに少し滑ってみるが、南面のこちらは雪が緩んで深く潜り、やはり簡単ではなかった。
今日はここまでとして、テントに戻った。
<4月3日>
天候:くもり
<コースタイム>
8:00 田代湿原
9:10~9:18 武尊避難小屋下1724m
10:02 武尊山登山口(旧スキー場トップ)
10:33 旧武尊牧場スキー場
昨夜は寒さが厳しく、0時過ぎに目が覚めると、その後はなかなか寝付けず眠ってもまた何度も目が覚めるという、辛い夜を過ごした。
明るくなってテントの外に出ると、雪はカチカチにクラストしている。
これが緩んでくれないとBCクロカンでは快適な行動はできないので、出発を急ぐ必要はない。
朝食を済ませ、朝日が差してくると、テントの中も少しずつ暖かくなってくる。
この調子なら順調に雪も緩んでくれるだろうか。
ところが、次第に雲が出始め、8時頃には空全体が雲に覆われて、そのうち雪が降り出してもおかしくないような様子になってくる。
ラジオの天気予報でも、午後には雨が降り出す(もちろん平地の話)ようなところもあるようなことを言っていて、天気がまた回復することもないようだ。
これでは待っていても雪が緩むこともなさそうだ。
西山を1本滑ろうかと思っていたが、とりやめ。
早々に撤収して下山することにする。
まずは武尊田代へ登り返す。
昨日は直滑降にしかならないような緩斜面だったが、クラストしていてウロコが効かないので、シールを貼って登る。
ブナ林を登り切って針葉樹林帯に入り、昨日のトレースをたどって小さなアップダウンをしながら進み、避難小屋への最後の登りの下まで来る。
しかし、避難小屋まで登っても、この雪質では辛い下りが長くなるだけだと判断。
ここでシールを外すことにする。
武尊牧場から武尊避難小屋までの尾根は全体にとても緩やかだが、避難小屋の少し手前に少し斜度が強くなる部分がある。
雪質が良ければBCクロカンで滑るのにちょうど良いくらいの斜度だが、木曜に積もった雪がクラストした今日の雪質ではここが核心部になる。
しかし幸いにも、今日はそーっと横滑りすれば表面を割らずに滑れるくらい、クラストが堅くなっている。
大きなザックを背負い、足を開き腰を落としてそろそろと横滑りする図は見栄えが悪いが、気にしてはいられない(どうせ誰も見てないし)。
両足均等になるように注意しながら慎重に下りていき、斜度が落ちる部分で無事登りのトレースに合流する。
そこから先はボーゲンも使えて、直滑降にボーゲンを交えて下っていく。
スキー場のゲレンデまで戻るとようやくテレマークターンもできるようになるが、堅くて急な部分は横滑りで下りる。
最後はスキー場ベースの初・中級コースだったと思われるコースを楽しく滑って、駐車場に戻った。
武尊田代は、以前から地図で眺めて、BCクロカンで行ったら良いんじゃないかと気になっていた。
しかし滑って楽しそうな斜度ではないことは明らかだったので、それほど期待していたわけではなかったのだが、予想をはるかに超える素晴らしさだった。
季節外れの新雪で雪面が真っ白になり、空は快晴というコンディションが、さらにブナ林の美しさを引き立てていたのも幸運だった。
一方、やはり気になっていた西山の斜面も偵察できて、今度はパウダーシーズンに来てみたいと思った。
スピードを出して気持ちよく滑るというシーンはほとんどなかったが、それでも思い出に残る、よいツアーになった。
ツアー記録一覧へ
この記事へのコメント
ご愛読ありがとうございます(笑)。
翌週同じルートに行かれていたとは奇遇ですね。
この時期あそこに行く人はそれほど多くはないと思うのですが、何か通じるものがあるんでしょうか(笑)。